訪問看護の社長の年収はいくら?|開業から複数拠点まで、段階ごとの目安と決め方
「訪問看護ステーションを開業したら、社長の年収はどのくらいになるのか」。開業を考えている看護師の方からも、すでに経営されている社長からも、よくいただく質問です。
結論からお伝えすると、社長の年収は会社の段階によって大きく変わります。そして、その金額は「いくら欲しいか」ではなく、「会社がいくら稼ぎ、いくら会社に残すか」から決まります。この記事では、開業から複数拠点まで、段階ごとの年収の目安と、その決め方を解説します。
社長の年収の目安は、段階ごとにこう変わる
これまで訪問看護ステーションを支援してきた実感として、社長の年収の目安は次のとおりです。
- 開業したて:300万〜400万円
- 1拠点目の稼働が上がり、売上が1億円に届いたころ:600万〜800万円
- 複数の拠点を運営するようになったら:1,000万円以上
開業したての時期は、看護師として働いていたころより年収が下がることも珍しくありません。利用者さんが増え、1拠点目の稼働率が上がってくると、少しずつ社長の報酬にも余裕が出てきます。
社長の年収は、売上と利益から逆算する
社長の年収、つまり役員報酬は、次の順番で考えます。
- 売上高に、社長の報酬を引く前の利益率をかけて、社長の報酬を引く前の利益を出す
- その利益から、会社に残すお金(次の投資、借入れの返済、税金)を先に決める
- 残りを、社長の報酬にする
図は、社長の報酬を引く前の利益率を10%と仮に置いた例です。売上が5,000万円なら、利益は500万円。開業したての時期は社長の生活もあるので、報酬は400万円ほどとり、会社に残るのは100万円ほどです。売上が1億円なら、利益は1,000万円で、報酬は600万円ほど、会社に400万円ほどを残せるようになります。
売上が3億円の複数拠点になると、利益は3,000万円。報酬は1,200万円ほどになりますが、利益に占める報酬の割合はむしろ下がっています。次の拠点を出すための投資や、増えた借入れの返済に、会社に残すお金が必要になるからです。
役員報酬の決め方の基本は、こちらの記事で詳しく解説しています。
儲かっていそうに見えて、実は…
「訪問看護の社長は儲かっている」。そう思われることは多いのですが、実際は違うことがよくあります。
社長は、ある意味で演じることが大事な仕事です。スタッフや利用者さん、取引先、銀行から見て、頼れる経営者でいること。社長としてのブランドを保つために、余裕があるように振る舞うことも必要です。
ただ、その裏側で、利益の多くは借入れの返済や次の投資に回っていて、社長個人の手元に残るお金は意外と少ない。周りからは儲かっていそうに見えても、実はそうではない。それが多くの社長の現実です。
年収を上げていく社長は、先に投資する
では、年収を上げていける社長には、どんな共通点があるのでしょうか。
答えは先行投資です。自分の報酬よりも先に、会社に、設備に、そして何より人材にお金を使う。働きやすい環境や待遇を整えることで、良い人が集まり、定着してくれます。人がついてくれば訪問件数が増えて売上が上がり、利益が出る。その結果として、社長の報酬も上がっていきます。
最初から自分の報酬を高くしようとすると、この循環が回りません。会社を先に育てることが、遠回りに見えて、社長の年収を上げるいちばんの近道です。
まとめ
訪問看護の社長の年収について押さえておきたいのは、次の4つです。
- 目安は、開業したてで300万〜400万円、売上1億円で600万〜800万円、複数拠点で1,000万円以上
- 年収は、売上と利益から逆算し、会社に残すお金を先に決めてから決める
- 社長は儲かっていそうに見えても、実際は返済や投資に回り、手元に残るお金は意外と少ない
- 年収を上げていく社長は、自分より先に人材や設備に投資している
開業を考えている方は、開業資金の考え方もあわせてご覧ください。
