顧問税理士は何をしてくれる?|「いらない」税理士と「いてよかった」税理士の差
「毎月顧問料を払っているけれど、税理士に何をしてもらっているのか、正直よくわからない」。経営者の方から、ときどきこんな声を聞きます。
その原因の一つは、顧問料でどこまでやってもらえるのかが、はっきりしていないことにあります。この記事では、顧問税理士が何をしてくれるのか、そして「いらない」と思われる税理士と「いてよかった」と言われる税理士の差はどこにあるのかを、本音でお伝えします。
顧問税理士にどこまで頼めるかは、契約で決まる
顧問税理士の仕事には、どの顧問契約にもあるものと、契約によって入ったり入らなかったりするものがあります。
- どの顧問契約にもある仕事:税金の相談、定期的な数字の説明
- 契約によって変わる仕事:記帳代行、決算と申告、年末調整、資金繰りや融資の相談、事業計画づくり、経営の相談
つまり、顧問料にはやる範囲とやらない範囲があるということです。同じ「顧問税理士」でも、記帳や決算・申告は別料金になる契約もあれば、それらに加えて融資や事業計画、経営の相談まで含めた契約もあります。
「顧問税理士なのに、融資の相談に乗ってくれない」という不満を聞くことがありますが、もともとの契約にその仕事が入っていなかった、ということも少なくありません。契約の前に、何をどこまで頼めるのかを確かめておくことが大切です。
「税理士はいらない」と思われてしまう3つのパターン
契約の範囲とは別に、「この税理士はいらない」と思われてしまうケースがあります。
1. 年1回の申告だけ
これは、はっきり言って危ない状態です。1年分の数字を、決算が終わってから初めて知ることになるからです。利益が出すぎていた、お金が足りなくなりかけていた。そうしたことに気づいたときには、もう打つ手が限られています。
2. レスポンスが遅い
聞きたいことがあって連絡しても、返事が何日も返ってこない。経営の判断は待ってくれません。返事が遅い税理士は、それだけで「相談しても仕方ない」と思われてしまいます。
3. 親身になって寄り添ってくれない
税理士が数字の話をするのは、ある意味で当たり前です。差が出るのは、その数字を社長の状況や気持ちに重ねて話してくれるかどうか。顧問税理士との関係は、最後は人と人との部分が大きいと私は考えています。数字の説明だけで終わる関係なら、「いらない」と感じられても仕方ありません。
「いてよかった」と言われるのは、数字で先が見通せるようになったとき
顧問税理士がいてよかったと言っていただけるのは、毎月の数字が整い、会社の先行きを数字で見通せるようになったときです。
数字がわからないまま経営をしていると、判断はどうしても勘に頼ることになります。今月いくらお金が残るのかがわからなければ、人を採用するべきか、設備にお金をかけてよいか、決めきれません。迷っているうちに時期を逃し、気づいたときには手遅れ、ということも起こります。
反対に、毎月の数字がわかっていれば、「この先、いつ、いくらお金が残るか」が見通せます。採用や投資、借入れのタイミングを早めに決められ、打つ手が先回りになります。同じ社長でも、見えている数字によって、判断の質は大きく変わります。
数字で先が見通せると、銀行との関係も変わります。毎月の数字が正しく整っていて、この先の計画も数字で示せる。そうなると、銀行に融資を相談するときの説明に、ぐっと説得力が出ます。銀行は計画の根拠を追えるので安心して貸すことができ、社長も数字を見ながら安心して経営の判断ができます。社長、銀行、税理士の三者が同じ数字を見て話せる状態が、顧問税理士がいちばん役に立っている状態です。
銀行に通る計画の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
顧問料は「何を引き出したいか」で決まる
顧問料が高いか安いかは、金額だけでは決まりません。顧問税理士から何を引き出そうとするかによって、同じ金額でも高くも安くも感じます。
はっきり申し上げると、顧問料が安いということは、「それ以上のことはやりません」と言っているのと同じです。顧問料は、引き受ける仕事の範囲で決まるからです。範囲の外の仕事を頼めば、その分の料金がかかるのは当然のことです。
ですから、税理士を選ぶときは、金額を比べる前に「自分は顧問税理士に何をしてほしいのか」を考えてみてください。申告を任せたいのか、毎月の数字を一緒に見てほしいのか、融資や経営の相談相手がほしいのか。それによって、ふさわしい契約の形と顧問料は変わります。
良い顧問税理士を見分ける4つのポイント
私が経営者の立場で顧問税理士を選ぶなら、次の4つを見ます。
- 自分の立場になって考えてくれるか:経営者は、会社から逃げることができません。一方で、顧問が逃げるのは簡単です。その重さをわかったうえで、自分ごととして考えてくれるかどうか。
- 話を親身に聞いてくれるか:数字の話でなくても、まずは話だけでも親身になって聞いてくれるか。
- 返事が早いか:困ったときに、すぐに答えが返ってくるか。
- 一緒に動いてくれるか:話を聞くだけでなく、行動まで一緒にしてくれるか。ここまでしてくれる税理士なら最高です。
最初の面談で、少し込み入った相談をしてみるのもよい方法です。答えの中身だけでなく、どれだけ親身に聞いてくれるかで、その税理士との相性がよくわかります。
まとめ
顧問税理士について押さえておきたいのは、次の4つです。
- 顧問料には、やる範囲とやらない範囲がある。契約の前に、どこまで頼めるかを確かめる
- 年1回の申告だけ、返事が遅い、親身になって寄り添ってくれない税理士は「いらない」と思われる
- 数字で先が見通せるようになると、銀行も社長も安心し、融資の話も早く進む
- 顧問料の高い・安いは、顧問税理士から何を引き出したいかで決まる
顧問税理士は、会社の数字をいちばん近くで見ている存在です。「今の税理士に、もっと相談できたらいいのに」と感じているなら、一度、何をしてほしいのかを書き出してみてください。
